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現場レポート・DAY 2「Coach Session」

   

17:00になりました。ここでコーチから提案が。「みなさんのビジネスを、一度聞かせてもらえませんか?」

考えてみたら今までコーチはずっと悩みばかり聞いていて、ビジネスの全貌までしっかり聞けていませんでした。そこで明日行う予定のピッチを、現時点で仕上がっているものでやってみることになりました。

15分後、準備できたチームからピッチを行うことに。急遽準備を進める参加者。

どこまで整理できてますか?

。。。来ませんね。待ってても仕方ないので、コーチから声をかけてみましょうか。

迫り来る魔の手。

というわけでピッチスタート。「地産地生」というチーム名で、ここで詳細は書きませんが、地元中小企業と学生との繋がりをつくるビジネスを考えているそうです。

と、これまでの穏やかな雰囲気とは打って変わり、なかなか容赦ないツッコミが入ってきます。「負の解消というのはビジネスモデルとしては重要なことで、いい着眼点だなと思うんですけど、今の話を聞いていても、どうやって解消していくのか、どうやってサービスを広げていくのかが、全然さっぱり見えてこない」

「事業コアが見えなかったのが勿体なかった。着眼点はすごくいいと思うんですけど、どうやって落とし込むのか、それをピッチの最初に掴まないと、ただ時間の消費になって、響かないんですよね」

ピッチ終了後のチームの様子。大丈夫?凹んでないですか?(凹んでてほしいんですけどw)

「そろそろピッチ、いいですか?」「。。。!!」

というわけでピッチスタートです。「シェア工房」を名乗るこのチームも、なかなか焦点が定まっていない様子。

「その名前が意味することがピッチから抜けている。このまま明日行くと全然、話を聴く人は『???』になります。そして、ここ彦根でビジネスをやるストーリーもわからない。自分がヒアリングに行ったところの写真って絶対要ると思うんですけど、自分が行ったことをなぜ貪欲にアピールしないのか?」

「プレゼン資料は完結に、かつ主語も明確に。載ってないなら補足説明する。受け手側が誤解を招くのは資料として落第点」

「。。。」き、厳しいっすね。。。コーチがやりたい/やっていることとシンクロする部分もあり、少しその思いが入ったみたいです。

次のチームは「スイッチ」。

「突然ですが、自分のおばあちゃん、おじいちゃんは元気ですか?」
「?。はい」
「絶対に元気だって言い切れますか?」
「はい」
「絶対元気だってどうして言い切れますか」
「。。。!?」

ピッチ側が不思議な空気を作り出しましたw これをどう持ってくるんでしょうか?

「。。。出だしは面白かったんですけど、途中で普通の話になりましたね、、、回収されてないですよね。なぜそこに拘るのかをもっと言った方がいい気がするんですよ」こだわりをもって質問を投げかけると、どんな質問でもカチっと返せますしね。

4つめのチームは「漢(おとこ)予備校」。もともとこのチームは「ほほえみ宅急便」という名前だったのですが、言葉から伝わる雰囲気がだいぶ変わりました。

「どうして『予備校』なんですか?」自習室というイメージを持っていたそうですが、それは大学1回生の彼ならではの表現だったことがわかりました。

「言葉ってすごい大事で、予備校というだけでもはてなマークが出てしまう」高齢者を対象としたサービスだったのですが、そんな人たちに伝わる言葉だったんでしょうか?プレゼンがわかりやすかった分、コピーやスライドがついてきませんでした。

着眼点が面白いという話になり、コーチでアイデアが膨らみました。「そういう人たちが持っている老後のイメージって何なんだろう?」「大阪では〜」「え、そうなんですか?」イメージしている人たちのインサイトに迫れると、面白いサービスが生まれそうです。

そんなわけで4チームのピッチが終わりました。基本的に全チーム総攻撃を食らうという結果になったわけですが、ここでリーさんから今日最後のレクチャーです。

「今日ずっと皆さんを見ていたら、『問題が存在しない』『問題を認識していない』『ソリューションを認識していない』というサービスにチャレンジしているんですよね。一番失敗する道ですが、もしかすると世界を変えるかもしれない、一番いい道です。その可能性を見失わないでくださいね」

毎回登場する折れ線グラフですが、Startup Weekend の参加者が必ず体験する気持ちの変化。2日目さぁ頑張るぞ!と思って動き出したはよいが、そこに顧客は見つからなかった。コーチからもボロボロに言われた。今皆さんの気持ちはどん底にいることでしょう。

「でも朝になると希望が見えるんです。希望が見える方法は2種類あります。1つは、、、ビール飲んでスッキリしてチャラにしてやり直す!」あと1つはコーチに助けてもらって自分たちで這い上がるパターン。一見後者のほうが堅実そうですが、実はスッキリ忘れてしまったチームが優勝することも多いんですよね。

その意味でも、この今が重要。捨てるか、粘るか。明日の最終プレゼンのために、焦点をしっかり当てていきましょう。

「人間の人格はコロコロ変わらない。だからその人のことを知りたいのなら、その人の過去の行動をみればよい。そこから未来を予測するんです」

「人間のなかには本当の自分と理想の自分がいます。本当の自分は隠れていて、口や目というフィルターを通して理想の自分が外に出るんですよ。太っている人に『ダイエットしてますか』と聞いたら『してる』と答える。でもそれは本心ではない、理想の自分なんです。だからそう尋ねるのではなく、『あなたは昨日ビールを何杯飲みましたか』など、実際の出来事を知り、数字などで確かめるんです」

本当のことを尋ねるのによく使われるのは「5 Why’s」。なぜと5回同じ質問をすることで、目には見えないより深いところに近づいていく。

そして尋ねた相手のことを知る。その人は本当に自分たちの顧客なのか?「皆さんがつくる新しい製品は、世の中の8割は買いません。つまり皆さんがとってきた情報の8割は無視しなければいけないんです。なのに無視しないから、マーケットを誤解するんですよ」

「私の製品を買う人か買わない人かを分類する質問をしなければいけない。そのとき自分と競合する製品・会社に対する利用実績を聞くんです。やり方は調べたら色々出てきますが、わからなくてもやってみましょう」

本当の顧客を見つけて、自分のやりたいことを形にしていく。そのための3日間です。今まさに見失いかけている時だと思いますが、ここで気分をスッキリさせて、最後のプレゼンに向けて頑張っていきましょう。

そしてこれから会場を離れるコーチから、皆さんにメッセージ。

「私は2013年4月に初めてコワーキングを立ち上げたとき、100人ぐらいに『やりたい』と言ったけど前向きな返事をもらったのは2人ぐらいで、あとは『馬鹿じゃないの』『滋賀でそんなの人来るかよ』という返事でした。でもどれだけ言われようが、自分は可能性があると思っているし、どうしてもやりたかった。だからお金を借りて、万が一お金が底を尽きたら事業を辞めてパートして借金を返しますという約束をして、株式会社を立ち上げました」

「でも最初の頃は、家賃が10何万発生するけど入居者2人しかいない。問答無用、毎月お金が容赦なく口座から落ちていくんですよ。収益が殆どない頃は、夜中に目が覚めて涙が出ていました。人はお金がなくなると、余裕が無くなります。手が震えたり動悸したり寝られなくなったり…。そんなことがあっても、いま皆さんが考えているビジネスって、本当にやりたいことですか?」

「そして営業に行ったら、今度は容赦なく話を聞いてもらえない。話すらさせてもらえないことってザラにあるんです。それでもやりたいですか、今?」

「Startup Weeknend は3日間だけかもしれないけど、私は起業するときにこんな集まりがあったら出たかったし、打ちのめされたかった。最後は気持ちです。やったもん勝ち、続けたもん勝ちやなって思います」

「私は2007年に立ち上げて、11年目になります。最初はビジネスモデルとか考えずに『売れるだろう』と甘い考えでスタートしたので、山崎さんと同じように借金を抱えて始めました」

「起業って正解がない。正解がないところに向かっていくのはすごく不安で…。でも、社長というのは続けて当たり前で、潰れたらアホやんって言われる。それを『そうか、自分の責任やな』と捉えたことで、もうやるしかないと思えるようになり、踏ん張りがききました。しんどかった分、楽しいことも2倍楽しいと感じられるので、今は幸せやなと思っています」

「ダメだったら切り替えられる柔軟性も大事です。でも、自分たちの商品やサービスが絶対だと思いながら提供しないと、お客さんも不幸ですよね。買ってくれたら幸せになれるんだ、自分たちも潤って幸せになれる…そんなことを思ってワクワクしながら、でもしんどくなったりしながら。Startup Weekend はそれを疑似体験できる場だと思っています」

「今日お出会いできて、もう一度『あぁそうか、私もそういう気持ちで立ち上げたな』と思い出すことができて、非常に有意義な時を過ごすことができました」

「僕は『しゃかいか!』というウェブメディアを2011年に立ち上げて、今もずっと運営をしています。今やっと儲けが出てきているんですが、本業で儲かったお金を全て突っ込みました。自分が一生できる仕事という形で、やりたいなと思ったことをやっている感じなんです。それは本当に楽しくて、休みをとらずにやっていても全然辛くない。本当に一生できる仕事が見つかったなと頑張ってます」

「さっきプレゼンテーションをしてもらったんですけど、自分が思っていることをどう伝えるかは大事で。伝わらなかったらゼロ。自分がどれだけ考えて悩んでも、思いがあっても伝わらなかったら意味がない」

「取材をしてきたのなら写真やイラストを使うとか。タイトルをどう考えるか。『しゃかいか!』という名前だけでもすごい意味が込められています。そのように『伝える』ということ真剣に考えて、審査員の方にぶつけてもらえればなと思います」

「まずテクニック的なことですが、資料の魂は細部に宿るということは常に意識してください。一言一句、イラスト一つとっても、全てに意味づけがなされていないと、投資家やスポンサーは本当に細かいところを見てきます。今日は急遽のプレゼンの5分間でしたが、あのような場でも気を抜かないでほしい」

「今いくつか事業をやってるんですけど、全てにおいてワクワク感を持っています。皆さんがこれから作り直されるのか今のままで行かれるのかわからないんですけど、話し合っていてワクワクしたアイデアが出てくる事業でない限りは、僕はやめた方がいいと思います。それが湧き出てくるぐらいのコンセプトで進められる事業であれば、苦労もあるにはあるけど、楽しみに変わっていくものです」

「でも、マジック・ジョンソンも言っていましたが、ネガティブなことを言ってくる人の言うことは聞いてはいけない。確信をもってやっている人の足を引っ張るだけです。新規事業ってそういうものだと思うので、成功するという確信があれば、そういう声は意に介さなくていいのかなと」

今回特に県内の方に絞ってコーチを選んだのは、このイベントが終わった後も、またどこかの接点で彼らコーチと繋がり、将来の仲間として一緒にやろうということが生まれるといいなという思いからでした。学生の参加者の皆さん、もし就職して県外に離れてからも、私たちは(きっと)滋賀にいます。何かの機会で「あの人たちと一緒に何かできないかな」と思ってもらえると嬉しいです。

しばし交流の機会。こういう接点が1年後の起業につながったというケースもあるみたいですよ。

Startup Weekend はこれで終わりではありませんw 明日のピッチに向けて自分たちのビジネス、見直していきましょう。

リーさんの話どおり、いまこの時がチャンス。自分たちの見ていたところに顧客がいないとわかったらピボットしましょう。

自分たちが見るべきところがまだわからない?晩ごはんを食べながら懸命に整理をしています。

もう10時間以上も頑張っています。疲れますよね。本当に無理せず、でもよい結果が出るようにアクションしていきましょう。休むことも大切です。

気がつけば20:30。明日もまた早いです。このまま頑張るのもよし、休んで気持ちを切り替えるのもよし。明日朝までの12時間で動きは大きく変わるものですので、自分たちなりのやり方で、このどん底を切り抜けていきましょう。

明日はいよいよファイナルプレゼンテーションです!

 - 滋賀大学彦根キャンパス(2017.12)