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現場レポート・DAY 1「IDEA PITCH」

   

夜の滋賀大学。

1年ぶりとなる Startup Weekend Shiga がいよいよ始まります。

会場のなかではすでにピザパーティーが始まっています。今回も学生の参加が多いので、既にお友達という方もいるかもしれませんが、初めましての方はここでお互いのことを知っておきましょう。

今回のファシリテーターは NPO Startup Weekend Japan のリーさん。まずはこの3日間の心得を共有します。

ビジネスに成功も失敗もあるでしょうが、成功と失敗の分かれ道なんてありません。常に成功と失敗の繰り返し。人生なんてそういうものです。大事なことはその行動の時々で知り、成長していくこと。この Startup Weekend は「54時間でアイデアからサービスを生み出す」イベントですが、たった54時間だけで起業はできません。実際に起業するには1年ぐらいかかります。このイベントはそのきっかけであり、みんなで成長する場であるということ。そういう意識でみんなで一緒に3日間頑張りましょう。

Startup Weekend は世界中で開催されています。まさにこの時も世界の各地で行われているのですね。

Startup Weekend のミッションは「起業のできる人を増やすこと」ではなく「起業する人を増やすこと」。起業とは知識やテクニックではなく行動であるということ。そしてここで起業された会社に「就職」しようとせず、「共同創業者」になろうとすること。だから起業の仕方を学ぶのではなく、とにかくやってみるという姿勢で臨んでください。

これまでこの Startup Weekend をきっかけに様々な起業が生まれました。優勝したチームが必ずしも起業できるわけではなく、ここでの失敗が糧となって起業できたケースが多いそうです。Startup Weekend Shiga をつくった高瀬さんも、この集まりを契機に「BLINCAM」というサービスを立ち上げました。

ではここでアイスブレーキング。グループごとに思いついたキーワードを2つランダムに選び、その重ねた言葉でビジネスを考える、「Half Baked」というゲームを始めましょう。

どんな言葉が思いつきますか?「パワポ」「イヌ」色々出てきますね。

「鼻血」?そういうのもいいですねw

8つのキーワードが集まりました。どのキーワードを選ぶかはグループの自由です。

おっと、「スタート」と言ってから紙を取りに来てくださいねw

ではスタート!

各自選んだ言葉で思いつくことを話し合います。

「鼻血」と「睡眠」で、ドメインは「ははぢ.すいみん.com」w

アイデアを形にしてみましょう。

イラストで共有しあうのもいいですね。

スマホの検索でイメージを共有しあうところも。

オーガナイザーは独自に言葉を選んでサービス考えてますw

そろそろ形がでてきました。

まだ絵ができてないところも。時間間に合いますか?

終了!10分間って早いですね。どんなアイデアが出てきましたか?

それでは各グループ発表してもらいましょう。ピッチは投資を得るために何度も行われるものですが、聴く側が大事なことは、、、拍手!

それぞれのアイデアを発表しあいます。制限時間は60秒。

しかしまぁ10分でよくここまで形にできましたね。

ユニークなアイデアも多く面白かったですが、でも「皆さんのピッチはダメです」とリーさん。

「こういう機能があります」ということを投資家は聞きたいわけではありません。ピッチとは売ることであり、売るために伝えることは機能の前に、顧客が抱える問題。突然与えられたキーワードですから仕方ないですが、実際のビジネスでこれでは投資を得ることはできません。

ピッチのコツ。自己紹介にしてもただ自分の名前を言うのではなく、私じゃないといけない理由を話す。「他の人ではこのビジネスはできない、私しかできない」ということをアピールしましょう。

「東京オリンピック・パラリンピックに関連して最近インバウンド観光客向けのビジネスが増えていますが、観光客に会ったこともない人がアイデアを考えても、そこに価値はありません」。自分の思いつきではなく、ビジネスとして価値のあるものを訴えましょう。

そして何より大事なのは、相手にピッチする目的を共有すること。投資してくれる、或いは仲間になってくれる人に「何をやってほしいのか」が伝わらないと、行動にはつながらず「面白いね、頑張ってね」で終わります。自分の目的は何か、仲間集めをしたいのか、投資を得たいのか、その辺を意識して、これからアイデアピッチを行なっていきましょう。

では、ピッチしてみたい人、手を挙げて!

同じく60秒で自分がやりたいこと、話してください。

5名のピッチが終わりました。ほかやってみたい人?

と、2名が新たに手を挙げました。

ではこれから10分で、各々のアイデアに対する賛同者を募ってください!

各自席を立って参加者にアピールしていきましょう。

はい、ストップ!面白いと思ったものを投票し、アイデアを絞ります。

最終的に6つになりました。ここでリーさんがアドバイス。「皆さんのピッチはダメです」

「ビジネスそのものを話すのは大変です。秘伝のレシピとか特許とか、殆どが秘密で隠されている。でも皆さんがやることはビジネスを立ち上げることです。ビジネスとして何をやるのか、先ほどのピッチにはそれがないんですよ。ビジネスモデルの話ばかり。『ラーメン1杯食べてもらえたら700円もらえます』というビジネスモデルを考えるのはプランナーの仕事で起業家の仕事ではない。ビジネスで何をやりたいのか、そのために自分ひとりではこれが足りなくて、どういう能力が必要なのか、どういうチームをつくりたいのか、その思いが共同創業者をみつけるときに役に立ちます」。

その辺を意識して、次はチームビルディング、ビジネスの仲間をつくりましょう。どういう仲間と一緒にビジネスをしたいのか、訴えます。

「〜というビジネスを考えているので、大学から遠いところに知り合いが多く住んでいる人、来てください!」

この方は台本を用意してピッチ。「それまでの人生を変えることができるのです。どうぞ彦根・ゲストハウスに関心のある方は集まってください!」

「ああ、時間がない、どうしよう」やりたいことを言って終わってしまいましたw

「〜という場所を作れたらなと思っています。ただ、アプリとかそういうのを作れたらいいんですけど、そういう知識がないので、そういうのが作れる方、いたらぜひお願いします!」

「〜ということに特化したいと思っているんですが、その一方で色んな技術をもった人がバラバラにいます。そういう人たちを引き合わせる場所になればいいなという考えが出てきました。」

「〜のためだけの機械を作りたいと思っていて、他にも、、、あぁ、、、」

ストップ!なかなか60秒で思いを伝えるのは大変ですね。

先ほどのピッチを踏まえて15分でチームづくり。アイデアに共感してくれる仲間、自分が持っていないものを持っている仲間を見つけていきます。就職するのではなく、共同創業者になろうという気持ちで仲間を作っていってくださいね。

懸命のアピールが続きます。

人気のあったアイデアには参加者から話を聴きに行ったり。

「うーん、どうしよう」、ジョインするか悩む参加者。

まだ仲間が見つからない人も。

と、話を聴いてもらえるチャンスができました。なんとか3名以上のチームをつくりましょう。

既にチームができたところは、アイデアを共有しあいます。

と、向こうからアプリを作れそうな人の声が。「ウチに入りませんか!?」

争奪戦になりましたw でも基本的にノールールです。あの手この手で仲間をみつけていきましょう。

完成したチームはホワイドボードにチーム名と人数を書いていきます。

アイデアを持っていたけど、別のアイデアと合流することになりました。こういうのもアリです。

最終的に4つのチームができました。でもこのチームも途中で離れたりしても大丈夫です。チーム自体も解散したり合流したりすることもあります。とにかく残る2日、自由に動いてくださいね。

最後にリーさんからマネタイズについてアドバイス。「マネタイズはお金をどうやって稼ぐかということではありません」。

「世の中の価値はたくさんのカタチで現れます。そ価値のカタチの一つがお金です。お金もドルや円という価値のカタチで現れる、、、でもお金は最悪の価値です。お金のカタチになった価値は他のカタチに変わらないから」。

「人の感情、喜び、悲しみ、行動、情報、そういったものも価値なんです。起業家にとってはお金よりもそういう価値のカタチの方が使いやすい。お金では高いものでも買ってくれるから。ビジネスとして価値を考えるときは、お金じゃなくて情報、感情、行動という3つの価値を使ったほうが、最初ビジネスを立ち上げるときにラクです」。

お金を稼ぐことではなく価値を稼ぐことが大事。掴み取った価値のカタチを変換して最終的にお金にすることがマネタイズであり、そのような価値を考えて、ビジネスを立ち上げていきましょう。

Startup Weekend は残り2日。ここからどんな「価値」が生まれるのでしょうか?随時レポートアップしていきます。

 - 滋賀大学彦根キャンパス(2017.12)