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ジャッジからの講評

   

優勝決定後、3人のジャッジが今回のプレゼン全体についてコメントしました。

滋賀・彦根でしかできないイノベーティブなものが生まれて、それが逆に都市に逆流して広がるモデルがあるんじゃないか。

岩嵜博諭さん

博報堂イノベーションデザイン ディレクター

皆さんおつかれさまでした。まず今回「ビワイチ」さんが優勝されたということについて、せっかくのこういうイベントなので、ここでしか出来ないこと、また大手じゃできないこと、そしてニッチマーケットからスタートアップのチャンスがあって、色んなことが派生的にできて、付加価値をつけるようなサービスが提供できる、という評価をさせていただきました。

僕自身は滋賀出身で、東京での仕事はありつつもなるべく滋賀に貢献したいなと思って、Startup Weekendなど色々やらせていただいてるんですが、なぜやってるかというと、今までは「イノベーティブなものが都市部で生まれて地方に伝播する」というモデルだったのが、逆のモデルもあるんじゃないかと思っていて--、地方でしかできない環境や人の条件下で、むしろ都市にはできないイノベーティブなものが生まれて、それが逆に都市に逆流するみたいなモデルがあるんじゃないかと思っているからです。

「ビワイチ」さん以外のグループでもいくつか、ここでしかできない、滋賀でしかできない、彦根でしかできない、それがもしかしたら逆流して広がるかもしれないという、可能性を秘めたものがあったような気がします。

そういうことも念頭に、今後色々頑張って挑戦していただければと思いました。どうもおつかれさまでした。

(ちなみに優勝以外で好きだったチームは?)

個人的には「Startup材木店」(彦根で100年以上続く材木店を生かした、地酒を木の香りと一緒に味わうことのできるバー)と「くまごろう」(湖北の農家と消費者を通販や交流イベントを通じてつなぐポータル)も結構いいライン行ってるかと思ったんですけど、詰めがちょっと甘い、でも多分もうちょっと時間かけてやればいいものになりそうな感じです。

とにかく出来るところからやってみる。見える世界も変わるし、そういう人たちが世界を変えていく。

相馬康子さん

株式会社Blincam CMO

みなさま本当に3日間おつかれさまでした。本当にどのチームも面白かったんですけれども、1チーム選ばなくてはいけないということで、今回こういう結果になりました。

プレゼンテーションの時間が5分というのもありますが、捻り方でもっと面白くなったり、ユニークなものになったりするので、これからもご自分で色々なことを発想して、是非継続して何か新しいことを始めていただきたいなと思います。

社会人になって最近本当に思うことですが、働いていられる年数って結構短いんですよね。海外で成功している他のスタートアップの人たちも、平気で何回も失敗してるんですよ。例えばGoProも最初2回失敗して、3個目のGoProも製品をつくるだけで4年かかってるんですよね。失敗から学ぶということを考えたとき、人生のなかで何回トライできるのかと思うと、本当に時間が短い。

なので「もうごちゃごちゃ言ってないで、とにかく出来るところからやってみる」というのは本当にすごく大事だと思いますし、そういうことをやると、自分にとって見える世界も変わるし、そういう人たちが世界を変えていくと思うので、是非是非皆さんこれからも頑張ってやっていってください。どうもおつかれさまでした。

(ちなみに優勝以外で好きだったチームは?)

他のところでいうと、「チームYAGI」(おせっかいをしたい人が近くにいる外国人観光客の困っていることが何かを知り、助けることができるアプリ)が面白いなと思いました。もう1年経てばGoogle Translateが、かなりの精度で翻訳してくれるんじゃないかとか、既に「指差し会話ツール」みたいなものもあるけれど、一般市民に対してポピュラーになってるものがないっていう意味で面白いなとは思いました。是非作ってみて、何かの形で世の中に出たら面白いかなと思ってます。

でも他の皆さんもとても面白くて--、「たまごやき」(空き家となった古民家を活用したコンセプト型民泊)は「知ってる人を知ってれば」という業界ではあるんですけれど、もう既にあるものにプラスアルファしているものは、Startup Weekendでは「ないもの」ということだったので。

でも本当に皆さん面白いアイデアいっぱいで、是非これからも挑戦し続けてください。

「書を持って、町へ出る」のも大事。体力だけじゃなくて頭の筋肉も鍛えて。

柴田淳郎さん

滋賀大学経済学部 准教授

ビジネスを考えるときに一番重要なのは、「どういう価値を世の中に提供することができるのか」ということ。それが一番はっきりしていて、しかも比較的新しいというか、今までにないものを考えたのが「ビワイチ」かなと思いました。

一方でもうちょっと保険のことを勉強して--、例えばモラルハザードの問題に対してどういう対応をするのかとか、そういうことも考えてほしかったなと思ってます。「書を持って、町へ出る」のも大事で、まずはちゃんと勉強もしてくださいということを僕のこの回のオチにしたいと思います(笑)。体力だけじゃなくて頭の筋肉も鍛えて、今後益々外でも大学でも頑張ってくれたら。

(ちなみに優勝以外で好きだったチームは?)

僕は「Startup材木店」が好きかなぁ。

あと別路線でいうと、そういう公共財みたいになるかなと思ったのは「チームYAGI」。外国人が記号をどう解釈するかというデータベースみたいなものがあれば、そういう絵を使った多言語コミュニケーションの研究として、障害者や色んな分野にも応用できるかなと思ったので、アイデアとして面白いかなと。ただビジネスになりにくいよな、とは思いました。

※スタッフ註:当初公開時「書を持って、町を出る」と書いていましたが、「町へ出る」の誤りでした。訂正してお詫びします。

 - 滋賀大学彦根キャンパス(2016.12)